ウェンレーティンの
野望編

第四十一章
待ちわびた刺客


 マイクにクリスとの誓約の儀式に用いられる術式を伝えてから更に一日が経過した。

 天候もよく波も比較的穏やか。

 風向きもよく、ムロト号は快調に帆走していた。

 豪華な装飾が施された船尾楼の船尾バルコニーに出て海を眺めれば、島影一つ無い見渡す限りの水平線が広がっていた。

 俺は柵に寄りかかって船の航跡を見下ろす。

 天をつくような青空のもと、俺は潮風を受けてぼんやり海を眺めていた。

 こうしてこの船で航海するのは2度目だが、相変わらずでかい船だ。

 一冒険者が自らの冒険の為に所有するような規模の船ではない。

 平時は商船として運行されていると言うこの船だが、そーいえばこの船について詳しい話はしていなかったな。

 船旅中やる事もほとんどなくて暇だし、いい機会だから少し話しておくか。

 ムロト号は4本マストバーク型帆船で、極めて珍しい旅客設備を有する船である。

 なぜ旅客設備を有する船が珍しいのかって?

 そもそも外洋船使って船旅を行おうという旅行者はほとんど存在しないのだ。

 それには大きく分けて2つの理由がある。


 まず挙げられる理由が場合によっては何ヶ月もかかる航海にかかる旅費だ。

 当然の話だが航海中に消費する水や食料などは、船の積荷とは別に積み込まなければならないのだが、その際に使用する船倉の使用代が大変高額なのだ。

 大抵の場合、同じ容積の積荷を売却する額と同額を請求されることになる。

 積荷である交易品は貴重品が多く、高額で取引されるので一般人が支払える額ではないのだ。

 その上に渡航費はもちろん別にかかるし、航海中の滞在費もがっつり請求される。


 そして二つ目の理由が大変な危険を伴う事にある。

 まず挙げられるのが航海そのものの危険。

 航海技術が進んだ今でも、天候不良や事故による遭難などは後を絶たないのだ。

 そして二つ目が海上の治安の悪さだ。

 遠方より珍しい交易品を満載して航行してくる帆船は、常にその積荷を狙う海賊などに襲われる危険が付いてまわる。

 交易船を襲い積荷を奪えればまさに一攫千金だ。

 しかも広い海上で犯行が行われる為アシもつきにくく、海軍も限られた範囲内でしか取り締まれない。

 まさに海の上は無法地帯なのだ。

 このように大金が必要な上に大変危険な為、これに好き好んで乗ろうと言う利用客などいないのだ。


 全ての外洋船はこうした有事に備え、商船でありながらも戦艦としての能力も合わせ持つ。

 外洋船に求められる性能は、商船としての大規模な輸送力と有事の際の堅牢な戦闘力を兼ね備えると言う点に重点がおかれ、そこに乗り込む人間の居住性への配慮はまず切捨てられていく。

 こうした帆船では船長やオーナーなどといった幹部用の個室や貴賓室を除き、人員用の居室と言うものが無いのが一般的だ。

 船員たちは最上甲板の一層下にある戦闘甲板と呼ばれる区域で生活することになる。

 この戦闘甲板と呼ばれる区域は、主艦砲となるアーバレストが設置された区域で、艦砲戦の際の主戦場となる場所だ。

 戦闘甲板には指揮者の指令がよく通るよう壁がなく、部屋なんてものはない。

 船員たちはそんな場所でハンモックを吊り下げて眠るのが一般的なのだ。

 さてムロト号であるが、船員の居室についてはこのムロト号も例外ではない。

 50人ほどで操船が可能なこの船だが、有事の際の兵力として常時100名を超える船員たちが雇われ、彼らはプライベートもクソもない戦闘甲板で船上生活を送っている。

 ムロト号は船尾楼に旅客用の船室を設置している。

 そのため他船に比べて船尾楼は少し後ろに長く、そのぶん船自体も一回り大きい。

 旅客設備を有するムロト号だが、収容人数は多くはなく20人程度を想定して作られている。

 まぁゆったりとした間取りの豪華な2人部屋が10部屋あると言うことだから、ここに詰めれば3倍の人数は乗れるだろう。

 ちなみに上に書いた帆船の性質上、渡航客が船内で立ち入りできる場所はこの旅客施設部分に限られ、白兵戦時には指揮系統の中枢となる船尾楼屋上はもちろん、最上甲板上に出る事は禁じられていたりと制限は多く、船内の娯楽もそう多くないので、このムロト号での旅でさえも快適な船旅とはいい難いだろう。

 しかし一般の船に渡航客として乗り込むのと比べればその差は歴然であるのは言うまでもない。

「テイファさーーん」

 その時バルコニーの出口の方からマリアの声が聞こえてきた。

 開け放たれたままの扉から顔を覗かせ、きょろきょろと俺の姿を探すマリアの姿が見える。

 俺が「こっちだー。」と声をかけて手を振ってやると、俺の姿を見つけたマリアはパッと笑顔を浮かべて、とてとて走ってくる。

「どうした?マリア。」

「テイファさん、マイクさんがお部屋へ来てくれとおっしゃっていたので呼びに来ましたー。」

 俺のそばまで駆け寄ってきたマリアはにこにこ笑顔を浮かべたまま、俺に用件を伝えた。

「マイクが?」

「はい、なんだか私達にお話があるみたいです。」

 私達、と言う事はマイケルやキッドも呼び出されているのだろう。

「わかった、んじゃ一緒に行くか。」

「はい。行きましょうー。」

 俺たちは連れ立って船尾楼の一角にある、マイクの居室へ向かった。

 ちなみにこのムロト号にはオーナーであるマイク専用の個室はなく、奴は一般用の客室を使っている。

 客室にはリビングと寝室の2部屋があり、リビングには応接テーブルが各部屋に設置されていた。

 ソファもテーブルも床にしっかり固定されて動かないようにされてある。

 これは波による揺れや、旋回時の船体傾斜への備えだ。

 リビングの壁には絵が掛けられ、タンスなどの調度品も細かい装飾がほどこされた高級調度が揃えられている。

「マイク、入るぞー。」

「おう、開いてるぜ。」

 俺たちが部屋のドアを開けるとそこには既にキッドとマイケルがソファに並んで腰掛けていた。

 テーブルの上に3人分のティーセットが並んでいるところを見ると、どうやら俺が呼ばれる前から訪れていたらしく、マイクと何か話していたようだな。

「よう、2人とも突然呼び出して悪いな。ちとこれからの方針について話しておこうと思ってな。」

 マイクは部屋に入った俺たちを確認すると、空いているソファを指して座るように促しながら話し始めた。

 俺たちは勧められるがままに並んでソファに腰掛けると、まるでそれを見計らったかのようなタイミングで給仕の女が部屋を訪れ、新たに俺とマリアのお茶を手際よく用意してくれた。

 女が「失礼します」と俺たちに声をかけて部屋を退出すると、マイクは少し前に身を乗り出す。

「さて、大体察しはついていると思うが、そろそろウェンレーティン閣下にケンカを売りに行こうかと思ってな。」

 マイクは緊張感もなくさらりと言うのだが、この一言で皆の表情に緊張が走った。

「まぁそこでだ。君らも身をもって体験したとおり今回の敵はなかなか大規模な相手だし、まず君らに確認をしておきたいことがあってね。」

 マイクは俺たち一人一人の顔にゆっくり視線を巡らせてそう言うと、その発言の重みに全員が息を飲んだ。

「島を出る前にはああは言ったが、君らが無理に最後まで付き合うことはないと思うんだ。」

 島を出る前に言った事とは『Sクラス難度の仕事になるがついて来い』と言った事だろう。

「前にも宣告したが、ここから先は俺の仕事だ。今後君らの出番はないし、これ以上付き合ってくれても報酬の上乗せはしない。それでも最後まで見届けたいって奴はいるか?」

 マイクの提案はまぁ当然のものだった。

 俺たちのようなBクラスにも届くかどうかの冒険者でどうにかなるようなレベルの仕事ではない。

 加えて俺たちは黒の団との直接戦闘で自分たちの無力さを痛感させられたばかりだ。

 普通、これ以上この件に関わりたくないと思うのが自然ってもんだろ?

 しかしマイクがそういい終えた直後。

「俺は行かせて貰うぜ。」「同行が許されるのであれば、是非。」

 キッドとマイケルはまっすぐマイクを見据え、力強く即答した。

「え?え?」

 それを見て目を見開いて驚くマリア。

 そう、これから乗り込むのは先日の黒の団などとは比べ物にならない規模の敵なのだ。

「マリアとテイファは残っていてくれ。俺達はこの顛末を見届けたいんだよ。」

「ええ。お二人とも無理はなさらずに一足先にトリスタンへと戻って置いて下さい。」

 二人は俺達を気遣ってそう言ってくれる。

 俺自身は同行することに何の不安もないから平気なのだが、マリアには少々キツイかもしれん。

 マイクが居るから身の安全は心配ないのだが、やはり精神面では相当なプレッシャーになるだろう。

 マリアが帰ることを選んだ時、一人にするのもかわいそうだしここはマリアの決定に従うかな。

「て・・ててて、テイファさんどうしましょう〜?」

 しかし相手も俺と同じ思惑だったようだ。

 俺に合わせる気満々だなこりゃ。

「自分で考えるんだマリア。怖いと思うなら残ればいいし、行けると思うなら行くと言えばいい。」

「は・・・はいぃ。」

 俺は少し突き放すような言い方でそう告げると、マリアはうーんうーんと声に上げながら考え始めた。

 長考に入るマリア。だが結論を急かす無粋な輩はここには居ない。

 まだ16歳の小娘にはちょっと刺激の強すぎる戦闘となるのは明らかだしなぁ。

 しかしそれを目の当たりにしたとき、それは今後のマリアにとって大きな経験になるだろうと思う。

 キッドとマイケルもそれを目にするために同行を申し出たのだろう。

 マイクももちろんそれは承知している。

 本来、足手まといでしかない俺たちをあえて連れて行こうと言うのだ。

 これが今回命懸けでクリスを護ってきた俺たちに対するささやかな礼のつもりなのか、単なる気まぐれなのかまではわからないが、マイクはこいつらにわざわざSクラスの世界を見る機会を提示している。

 それは『Sまで上がって来い』というメッセージだ。

 そういう意味では是非ともマリアも同行すべきなのだが・・・・。


 マリアの長考は5分にも及んだだろうか。

 何かを言いそうになってはとどまり、そんな動作を何回も繰り返していた。

 その間誰も一言も発せずにマリアの返答を静かに待っていた。

「あ・・・あのぅ・・・。」

 そうした雰囲気に遠慮して、マリアはおずおずとマイクに声をかけた。

「ん、決まったか?マリアちゃん。」

「はい、がががが・・・・がんばります。」

 マリアはカチコチに堅くなりながら自ら選んだ答えを伝えた。

 マイクは優しく微笑みながら大きく頷き、

「よぉし、よく決心した。そう緊張しなくていい。君らの事は俺が護ってやるからただ見ていればいいさ。」

 そう言って緊張して縮こまっているマリアの頭をぽんと撫でた。

「んでテイファ、おまえさんは?」

「マリアが行くってんのなら残る理由はないさ。」

「まぁそうだよな。」

 俺とマイクは顔を見合わせにやりと笑う。

「よし、決心もついたところで早速ウェンレーティン閣下にケンカ売りに行くか!」

『えっ!?今から?』

 マイクの突然の宣言に3人は思わずうろたえる。

「おうよ。実は前もって今日ケンカ売りに行くということは先方には知らせてあってな。そろそろ約束の時間だ。さぁ、さっさと準備して来い。」

 そう言ってマイクは立ち上がり、自らも武装を施し始めた。

 その姿に追い立てられるようにキッドとマイケルも部屋を出て行く。

 マリアは急に準備といわれても状況を飲み込めない様子で、落ち着きなくキョロキョロしていた。

「準備っていっても俺らに何もやることがない以上、このままでも問題ないんじゃないか?」

 俺はソファに座ったまま、手際よく黄金のスーツアーマーを身につけて行くマイクに訊いた。

「ま、そうなんだが、気分ってものもあるだろう?」

「まぁな」

 俺は右往左往するマリアの背をポンポン叩いて落ち着かせ、悠々とテーブルに用意されていた紅茶を飲みながら待つことにした。



 所変わってベルドリューバ宮殿。

 ベルドリューバ宮殿の広大な敷地の中にある正門前の大広場には数百人規模の軍隊が集結していた。

 ウェンレーティン家でも指折りの精鋭たちで構成される、親衛隊を中心として編成された部隊。

 中には今までその存在が秘密にされていた黒の団の忍者たちも、その身分を隠した上で紛れ込んでいる。

 彼らは硬く閉ざされた正門に向かい、正門から入る者を囲みこむような形で布陣していた。

 兵力の上ではお世辞にも大規模とは言い難い部隊。

 しかし彼らの一人一人がAクラスにも達する歴戦の兵士達である。

 そして正門正面の最前列に彼は立っていた。

 ウェンレーティン侯爵家当主、アルバート卿ウェンレーティン侯爵。

 周りの完全武装で固めた親衛隊達とは対照的に、アルバート卿は何ら防具も着けていない無防備な格好だ。

 腰に宝剣を差し、手には神々しいまでの蒼に輝く槍が握られている。

 そう。先日クリスから奪った覇王の槍。

 彼はこの槍をこれからの戦闘に使う武器に選んだのだった。

 側には重々しいスーツアーマーを身に纏った親衛隊長トーレスと、チェインメイルに身を包んだキラールが控え、これからここを訪れるという刺客を迎える用意は整っていた。

 Sクラス冒険者、マイク・アンダーソン。

 彼のやり方は侯爵家一同の想像を絶するものであった。

 黒の団が彼と一戦を交えた後、彼は早速動き始めていたらしい。

 あの戦いの数日後、ストール川訓練場の総司令として赴任させてあったキースロン将軍が、突如本国の手によって逮捕された。

 容疑は国家反逆未遂罪。

 確かに将軍は決起の際の実行部隊となるストール川訓練場駐留部隊の隊長でもあったが、証拠となるものはなに一つ残していないはずだった。

 全ての作戦会議はベルドリューバ宮殿内にある王族の非常時脱出用に設けられた秘密通路上にある会議室で行われ、そしてその全てが口頭で行われていた。

 それにも関わらず、アルバート卿が将軍に宛てたという決起の命令書が発見されたというのだ。

 これが偽造されたものである事は間違いない。

 しかし本国お抱えの鑑定士による慎重な鑑定の結果、驚くべき事に本物であると鑑定されたのだ。

 敵は本国鑑定士の目をも欺く偽手紙を精巧に作りだした上に、それを国王に信用させた。

 いかなる技を駆使すればこれが可能なのか。

 その後の王国の動きは素早かった。

 キースロン将軍の緊急逮捕。そしてストール川駐留軍は本国によって即時接収された。

 アルバート卿には国王より即時出頭命令が下ったが、アルバート卿はそれを無視し、本国へ抵抗する姿勢を構えた。

 計画が本国に漏れ、更に決起の主力であった前線部隊がまるまる接収された今、もはや軍事力ではまず本国に勝ち目などあるはずもない。

 しかし、この危機を前にしてそれでも尚アルバート卿は笑っていた。

 今の彼には王国軍の脅威など既に眼中にはなかった。

 彼の心にはこれから繰り広げられるあろう、人生で最強の敵との戦いしか映っていない。

 たった一人、しかも一瞬にして黒の団を壊滅的状況へ追いやった男、マイク・アンダーソン。

 しかも報告によると敵はまさに赤子の手をひねるが如く、ウェンレーティン家最強の秘密諜報部隊を追い返したというのだ。

 その敵が今日、王命を帯びて自分と戦う為にやってくるという。

 敵から送られた手紙によれば、もう間もなくのはずだった。

 彼と対峙する為に、選りすぐりの精鋭をそろえた。

 数多くの一般兵を集めたところで、彼の前では何の障害にもならないだろう。

 いや、この精鋭を持ってしても前座が務まるのか疑問を拭えないところだ。

 しかしそんな事はどうでもいい。

 アルバート卿にとって、本気で戦える敵の登場こそが何よりの歓喜だった。

 事ここに至りアルバート卿は、真に自分が求めていたものが何であったかを悟った。

 これまで彼は、戦いの場を求めて戦争を起こそうとした。

 最前線で心行くまで戦争に没頭したいと願っていた。

 その戦争を引き起こす為に権力を欲した。

 王国を乗っ取り、思うがまま戦争を引き起こそうと考えていた。

 しかし今になって思えば、そんな必要は全くなかったのだ。

 アルバート卿は戦いの場が戦争以外にもあることをようやく知った。

 さぁ早く来い。

 この私を討ちに!

 アルバート卿は固く閉ざされた城門が破られる瞬間を心待ちにした。

 その瞬間を見逃すまいと目を見開き、城壁の上に配置してある見張りの報告を待った。

 そして・・・・。

 それは突然、ウェンレーティン勢の予想を完全に裏切る形で現れた。

 城門の内側、布陣しているウェンレーティン勢の真正面の位置に突如ゲートが開かれたのだ。

 兵士たちから驚嘆の声が漏れる。

 それもそのはず、ベルドリューバ宮殿はその敷地全体に外部からの転移魔法を遮断する結界が張り巡らされているのだ。

 内部の魔術師が転移する為の方法は用意されているものの、それを知るのは一部の上位魔術師のみ。

 しかもゲートが開ける場所は宮殿内の特定の場所に限られるはずだった。

 しかし、今ゲートから姿をあらわした黄金の勇者は、その結界をやすやすと打ち破って内部に直接乗り込んできたのだ。

 ゲートからはマイク・アンダーソンと、4人のみすぼらしい冒険者が次々と姿をあらわした。

 アルバート卿はマイクに続く4人の姿を見ると、側に控えるキラールに目配せをして彼らが何ものであるかを尋ねた。

 キラールはアルバート卿に視線を向け、黙ったまま頷いて応える。

 たったそれだけの動作でアルバート卿は彼らが何者であるかを悟った。

 そう、彼らが黒の団を出抜いてまんまと逃げおおせた若き冒険者達なのだろう。

「よう。おまえさんがアルバート卿ウェンレーティンか。すっかり待たせちまったようで悪かったな。」

 マイクは不敵な笑みを浮かべながらアルバート卿に声をかけた。

 数百人規模の軍勢を前にして全く臆する事がない。

「くく、くくくく・・・。」

 アルバート卿はそんな彼を見てこみ上げる笑いを抑えきれなかった。

「ようこそ我が城へ。遠路はるばるご苦労であった。」

 アルバート卿は一歩前に出てマイクに声をかけた。

「ああ、大勢での歓迎、痛み入るぜ。」

 マイクとアルバート卿。

 二人の視線が互いを捉え、二人はにやりと笑った。

 その二人のやりとりをこの場にいる全ての兵、そしてマイクが連れてきた冒険者たちが固唾を飲んで見守る。

 もう間もなく、決戦の時が訪れようとしていた。


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