を超える。
これだけの重武装、並の男も立っていられんのに女の体で支えきれるわけがない。
どおりで急に重く感じるわけだ・・。
今度はジョニーがガントレットとヴァンブレイス部を外し、やっと手が動かせるようになった。
・・・情けねえ。こんな恥を覚えたのは生まれて初めてだ。やっとの思いで身を起こし、手を見てみた。
か・・か細い。
男の時の首ぐらいもないかもしれない。どおりでチェインメイルすら重く感じるわけだ…。
「さあいよいよ下半身だな。」
正義感の強い第三者が聞くと斬りかかってきそうな台詞を吐きながらマイクの指がグリーブに伸びる。
「残念だが両手が動かせるから自分でするよ。」
俺はそう言うとグリーブの留め具を外しにかかった。でも考えたらこれ外すと靴はないんだよな・・。
「ゴンザ殿。もしかして留め具を取らずとも脱げるのではないでござるか?」
ジョニーにそう言われて気が付いたが確かに脱げそうだ。突然マイクがグリーブをひっつかんで引っ張ると簡単に取れてしまった。
「・・・これじゃ起きれねえのも無理ないな。」
「むむむ・・・。」
おれはひたすら悲しかった。
・・・ようやく鎧が取れ、立ち上がろうとしたとき俺は嫌な感覚を覚えた。
チェインの下に着ていた服がでかすぎてずり落ちる感覚だ。
とりあえず座った姿勢のまま腰にロープを巻きつけ、ズボンがずり落ちないように固定した。
まったく・・素っ裸って訳にもいかんしな。
しかしでかかったんだな俺って。今の俺ならルパ○V世のようにシャツの首の穴からパンツ一丁で飛び出せるかもしれん・・・。
そう思って何気なく襟口を引っ張っていたらちらりと胸が見えてしまった。反射的に襟を押さえる。俺の鼓動は激しくなっていた。
見てしまった・・・。
自分の体なのに何故か罪悪感を覚えてしまう。多分今の俺の顔は真っ赤になっていることだろう。
「ゴンザ殿。武具は拙者が預かるでござるよ。」
「あっ・・・ああ!すまねえ。」
俺は襟口の余ったところを急いでくくりながら言った。ジョニーは俺の武具達をウルバックにつめていく。
ウルバックとは魔法の背負い袋で無限大の容積を誇る、俺達のようなレベルの冒険者の必需品だ。
ただし重さは変わらないので今奴の荷物は120sを超えるものになっているだろう。
いい奴だったんだな・・お前って。
「とりあえず一瓶持っていくか・・・・。引き上げよう!」
「そうでござるな。保存方法は直射日光を避け冷暗所に保管して下さい・・と書いてござるぞ。」
ジョニーは例の石版を見ながら言う。こいつは取扱説明書のたぐいを熟読する性格らしい。
こいつにつけられた殺人マシーンの異名が俺の中から薄れていく。
その後も丸腰の俺は2人に護って貰うかたちとなっていた。次々に襲いかかる化け物をマイクがフレアで焼き払い、ジョニーが鮮やかに分身殺法を見舞う。俺はジョニーから小刀を借りていたが俺に扱えるタイプのものではなかったのて後ろで見ているだけ。